車検証の住所と現在の住所
初めて個人様から軽自動車の車検証の再交付のご依頼を頂いた時の話です。
当初、「車検証を紛失したので再交付をお願いします」とおっしゃるだけでしたので気軽にお受けしたわけです。
しかし,お話を伺うと車検証の住所は現在の住所と違うことや、数回引っ越されていたのでどの住所が車検証に記入されているかが不確かなこと、また、ご結婚されて現在の名字が変わっている事実があり、現在の住所と氏名に変更もお願いしたいとのことでした。
車検証の再交付は、その記載されている使用者の住所・氏名がはっきりしていないと申請できないのです。
今回の再交付の原因は破損や汚損ではなく紛失で、車検証の使用者欄の記載内容が不明なのです。(車検証の記載事項を覚えていなくても無理もない話ですね)
税金の通知書に関しては、郵便局の転送手続をされていたので現在の住所に届いていたわけですが、どの証明書で現在の住所との繋がりを証明できるのか迷ったことがありました。
代理で再交付などの手続をする場合、証明書の内容を理解していないと依頼者にヒアリングできないですよね。
そこで住所や氏名の履歴を証明できるもの、「住民票」・「除票」・「戸籍附票」・「戸籍の除附票」について、私自身の備忘録の意味も含めて記述しておきたいと思います。
住民票で証明できる住所と氏名
- 現在の住所と世帯
- 同じ市町村での住所履歴
- 市内に転入前の住所(市外から引っ越してきた時のその市外の住所)
- 旧氏名の修正履歴(住民票請求窓口で「旧市名の修正履歴が必要」と伝える)
注意する点として、
- 転出した時は住民票は削除されますので、勿論その市区町村での住所履歴などはわかりません。
- 旧氏名の表示については、転入届と同時又は転入届以前に婚姻等で氏の変更があった時は表示されません。
- 住民票の各欄には大きさの制限があります。また、各市町村で様式が異なります。つまり同じ市内で引越しをされた場合でも件数が多いと市町村の住民票様式に入りきらないため、改製されます。
転出や改製されているときなどで、住民票1通では証明できない場合、次の「除票」が必要になります。
除票について
除票は住民票から抜けたことを証明します。
別の言い方をしますと「古い住民票」とも言えます。イメージとして「除票」を新しく作るのではなく今までの住民票が除票になるという感じですね。
具体的に除票になる原因は「転出したとき(転出届)」です。その他に「市町村の住民票様式に入りきらない場合(住民票の改製)」も除票になります。
※上記以外にも原因はありますがここでは割愛します。
こういった「転出」や「住民票の改製」で、同一市区町村内の住所の履歴が住民票では証明できない場合、各市区町村で「除票」を取得します。
引っ越す前の住所の履歴を証明したい場合は、引っ越す前の(転出した)市町村で請求し、住民票が改製されたことが原因の場合は現在の市町村で請求します。
したがって、現在の住所との繋がりを証明したい場合は「住民票」+「除票」を取得することとなります。
注意する点として、交付できない場合もあります。
転出前の住所の履歴を証明したいとき、転出した市町村に除票を請求しなければならないのでは手間や時間がかかってしまいます。
そういった市区町村をまたぐ住所履歴の場合は、次の「戸籍附票」の方が早いように思います。
尚、コンビニで取得できるのは住民票で、除票は対象となっていません。
市町村をまたぐ住所の証明は戸籍附票で
はじめに「戸籍」とは、出生してから死亡するまでの身分関係(出生、婚姻、死亡、親族関係)を登録した公簿です。
現在の戸籍は一組の夫婦と姓を同じくする未婚の子を単位に作られており、市町村で管理しています。
ちなみに婚姻などでの改姓は、その本籍地(戸籍を作った市町村)の戸籍謄本(抄本)で証明することができます。
本題の「戸籍の附票」ですが、本籍を定めた時(婚姻などで新しく戸籍を作った時)以降の住民票の移り変わりを記録したものです。
市町村をまたぐ住所の移動であってもその履歴が記されており、先の戸籍簿とセットで本籍地の市区町村で管理しています。(住所が変わった場合(転入届の提出)、本籍地の役所に通知されます)
「住民票の附票」と違い「戸籍の附票」は本籍地を移していなければいくつもの住所の履歴が記録されています。
住民票の除票ですと保存されているのかが怪しくなります(除票になった時期にもよりますが)。
よって車検証の紛失し、使用者欄の記載内容が不確かな場合の住所の変更には、戸籍附票が最適な証明書と言えるでしょう。
本籍地が変わった場合(転籍など)は次の戸籍の除附票になります。
戸籍の除附票
「戸籍の附票」は、婚姻や転籍などの届出により、新たに戸籍が作成されたときに本籍地の市区町村で作成されるもので、戸籍が作成されてからの住所が記録されるものです。
死亡等の届出により戸籍に誰もいなくなったり、本籍地以外の市区町村に転籍して戸籍が除籍となった場合は「除籍簿」になります。それに付随して戸籍の附票も「除附票」となります。
※戸籍の附票が改製(原本の作り替え)された場合も除附票となります。
したがって、婚姻などで新しく戸籍を作る前の住所の履歴は、(自分が結婚した時点での)「親の戸籍の附票」又は同市区町村で除票をとり、その親の戸籍が除籍となっている場合には「親の戸籍の除附票」をとります。
以上のような四つの証明書にはそれぞれ特徴があり、過去の住所と現在の住所を繋げるのに最適な証明書はケースによって違ってきます。
「どれくらい昔の住所なのか」、「まだ役所に書類が残っているのか」、「複数の役所で取り寄せないといけないのか」など、迷うこともあり、手間もかかることでしょう。
しかしながらこれまで見てきたように、車検証の住所の変更に関する証明書で言えば、住民票または戸籍の附票を取得することが一般的には多いようです。
ご自分で判断しかねる場合には、当事務所のような行政書士にご相談されることをお勧めいたします。わからないことを全てご自分で抱え込むこともないように思いますので。
投稿者プロフィール
- 1965年生まれ:敦賀生まれの敦賀育ちで山羊座A型:特技・どこでも眠れること:性格・慎重かつ大胆:苦手・人混み:好きな番組・NHKの72H:好きな時間・一人の時間と飲み会
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